保育のこころ

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よりよく生きる力の基礎を育てる和光市しもにいくら保育園
根岸 裕美 園長

健やかに育っている子どもたちの姿を見ていると、大人になっても生き生きと、喜びを感じながら生活してほしいと、心から思います。そのために乳幼児期には必要となる力の根っこを育てること、「よりよく生きる力の基礎を育てる」ことが大切だと感じています。保育園での生活は、子どもにとって楽しいことがたくさんあります。でも、困難なこと、悔しい経験もしていきます。そんな毎日をイキイキと過ごしていくためには、楽しいことを心から楽しいと感じ、悔しさや、困難な経験も、気持ちを切り替え、乗り越えられた自分を「すごいぞ。」と考えられるような、ポジティブなものの考え方ができるようになることが大切です。まわりの大人たちがちゃんと子どもを受け止める。のびのびと生活をすることで自己肯定ができる環境を整える。認めてもらえることで子どもには、「自分はありのままでいいんだ」と思える素直な気持ちが芽生えていきます。
このような環境で私たちが心掛けていかなければならないのは、乳児期から「自分のことを大事にしてもらっている」「愛してもらっている」「よく見てもらっている」ということが子どもに伝わるような、愛情のかけ方や丁寧な関わり方を積み重ねていくことです。必ず助けてくれる誰かいることは人を信じる力を養います。信頼できる人がそばにいることは大きな安心感へとつながります。同じことを考えている、同じことを嬉しいと思ってくれる大人がいることで、子どもは安心して保育園で過ごすことができるようになります。そんな環境で生活をする子どもの意欲はどんどん高まり、次から次へとやりたいことを見つけていきます。
「よりよく生きる力の基礎を育てる」ためには、子どもの主体性を大事に乳児期から温かい思いをもち、丁寧なかかわりをしていく子どもの援助者の存在がとても重要だと考えています。

私たちが大切にする子どもとの「4つの関わり方」

この子だからこそ持っているキラキラを見逃したくない。「その子らしく伸びていく」ために、私たちが大切にしている子どもとの4つの関わり方があります。まずは「認める」こと。子どもの行動や言葉をありのままに受け止め、その心の奥にある思いを汲みとります。自分の気持ちをわかってくれている。気持ちに共感してくれていると感じることで、子どもにとって、保育者は、安心できる信頼できる存在となります。2つめは「見守る・待つ」こと。戸外遊びから帰り、他の子どもが部屋にもどっても玄関で動かない子どもがいます。その子には玄関にいる魚の様子を見たい。という思いがあります。保育者がしばらく見守り、「魚さん元気だね。」と言葉をかけると、「うん。」と答え、満足した様子で、友だちの待つ部屋に向かいます。子どもの思いに寄り添い、待つことは、子どもの『満足』につながり、次の意欲を引き出していきます。自分から興味を持って行動に移す力が、どんなに小さな子どもにもあることを信じることが大事です。3つめは「見つける」こと。子どもには必ず心が動く瞬間があります。考え方や興味、行動などその心が動く瞬間を見逃さないことが保育者としての責任です。そして4つめは「仕掛ける」こと。心が動く瞬間を見つけたら、遊びや生活を通しての学びを仕掛けます。例えば、虫など生き物や自然に対する興味が出てきたと感じたら、自然散策ができる場所を散歩先に選んだり、すぐに調べることができる図鑑を置いたり。虫博士として認められ、自信がついた子どももいます。物的な仕掛けだけでなく、興味に対して先を見越した大人たちの接し方を考えることも、仕掛けることの大切なひとつです。子どもが遊びを工夫し、もっと楽しくしたいと思うと、文字を書けたらいいなという気持ちや、数字や量に対しての興味関心も出てきます。
乳幼児期は自分のやりたいことに向かって、満足するまで遊べる環境が大切です。『遊びの中からの学び』を保育の柱としており、それがベネッセが大切にしている保育です。しっかりとした信頼関係が築けている大人から向けられた言葉に、子どもは必ず耳を傾けます。その言葉を理解するまで大人たちは待ち続け、心に落ちてくる瞬間を見逃さずに、それに向けて動きはじめたときに少しだけ手を差し伸べる。子どもたちが今まで生きてきた力では判断できなかったことをきちんと伝えていくこと。そのために子どもたちとしっかり向き合うこと。一緒に感動したり発見したりすることで、心の育ちを何よりも大切に支えています。

保育園は保護者のパートナー

遊びや生活を通してのエピソードは、いろんな発見や感動があり、子どもの成長や思考の変化を知ることができます。保育園での日常生活をしっかりと保護者の方にお伝えしているのは、子どもたちの豊かな学びの物語がそこにはたくさん詰まっているからです。保育園と家庭での様子を互いに伝えあい、保護者と保育園が子どもの姿をひとつにして見守っていくことを大切にしています。
またそれと同じくらいに大切に思っているのは、保護者にとっての子育てのパートナーとなり、ご家族が子どもにとって一番安心できる笑顔を向けられる環境があることだと思います。ですから、お父さんやお母さんの大変さを理解しながら、子どもとご家族の幸せのために、保育園がどこまで家庭支援ができるのかを考えています。お迎えで子どもの顔を見てホッとしたのもつかの間、家事や炊事など帰ってから大変なことがたくさん待っていることと思います。それならば、10分間だけでも絵本を読んでもらう時間を持つことで気持ちを切り替えられ、子どもたちもご飯ができるまで穏やかな気持ちで待つことができるかもしれない。そんな思いもあり、絵本の部屋を用意しました。また、決まった期間の個人面談やこちらからのお伝えがある時だけでなく、必要なときに必要なだけ時間を設けて保護者からのお話しを聞くようにもしています。
家庭は子どもにとって一番大事な居場所です。だからといって決して子どもの「育ち」のすべてが家庭生活からではありません。身近な社会との関わりが、様々な育ちにつながります。もうひとつの子どもの居場所『もう一つのお家』として「育ち」を支えていくのが保育園の役割です。子どもたちが保育園で見せる表情とお家で見せる表情といろんな情報共有をしながら、子どもを真ん中にした保育園と保護者の強い信頼関係を築いていくパートナーシップを、私たちはずっとずっと大切にしています。