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保育のこころ

「よりよく生きる力の基礎」
となる根っこを育てる

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ベネッセ 武蔵小杉第二保育園
園長 市川 通代

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ベネッセの保育理念は『よりよく生きる力の基礎を育てる』です。こどもたちは生まれながらに「成長したい」「より良くありたい」というエネルギーにあふれています。私たちは、こどもたちがそのエネルギーを活かし、その子らしく伸びていけるよう、土台となる“根っこ”を育てていくことが重要であると考えています。揺るがない“根っこ”があれば、こどもたちは自分の枝葉を伸ばしたいと思う方向に、自由に伸ばすことができます。それが主体性を育むことにもつながっていきます。
揺るがない根っこを育てるためには、周りの大人たちがこどもにとって「寄りどころ」のような存在となることが大切です。「自分は大切にされているのだ」「自分のことを認めてくれる人がいるんだ」と感じることで、こどもたちは自分自身を大切にすることができるようになります。そうすることで自己肯定感が育ち、安心してその子らしく過ごせるようになってくると、こどもたちの目も自然と周りに向いていきます。「相手のことも大事にしよう」という気持ちも芽生えていきます。
そのために、ベネッセの保育園では乳児期からこどもと保育者が1対1でしっかりと向き合い、信頼関係を作っていくことを大切にしています。

その子の宇宙が拡がり続けるためのことば~保育実践から生まれたこどもが伸びる40の手掛かり~

そうすることで「その子の宇宙が拡がり続けるためのことば(※)」に記されている「ひとっていいな」ということばにもあるように、人から愛されている実感を持つことができ、その子の欲求が叶えられ、気持ちが満たされることによって、自分に自信が生まれ、表現することが怖くなくなり、自分の主張を人にしっかりと伝えることができるようになります。
「よりよく生きる力の基礎を育てる」ためには、こどもの主体性を大事にし、乳児期から丁寧なかかわりをしていくこどもの援助者の存在がとても重要だと考えています。
(※)「ベネッセの保育園」の保育実践から生まれた「その子らしく、伸びていく。」を支援するための共通言語をまとめた書籍。

『みんな笑顔』になれる
保育園

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保育園は、こどもにとって『保護者以外の大人と初めて出会う場所』だと思います。だからこそ、こどもたちが心から「愛されている」「安心できる」と感じてもらい、笑顔になれる場所にしたいと願っています。
そのために私たちが大切にしているのは、こどもたちの行動や発言をありのまま受け止め、気持ちを汲み取り、寄り添うことです。例えば、保育園に入園してきたばかりのこどもを、一人で泣かせたままにすることはしません。赤ちゃんやこどもは泣くことで色々な気持ちを表現します。優しく抱きしめることで、その気持ちを受け止めていきたいと思っています。保護者と離れて寂しい時、抱き上げ寄り添ってくれる人がいれば、その人はこどもにとって心から信頼できる人になります。その人を寄りどころにして、少しずつ周りに目を向けていって欲しい。そんな想いから、私はどんな時でも、泣いている赤ちゃんは必ず抱き上げ、声をかけ、こどもの気持ちに丁寧に寄り添いたいと思っています。
そうしていくことで、お互いの信頼関係が築かれ、自分が大切にされていると感じると、こどもたちの自己肯定感が育まれていきます。そうすると、こどもたちの行動にもだんだんと変化が見られてきます。例えば、1歳児クラスのこどもが、眠そうに横になっているお友だちの傍らに座り、トントンと寝かしつけるようなしぐさをしていることがあります。自分がして欲しいことをさりげなくお友だちにしている姿が本当にほほえましく感じます。幼児クラスになると、困っている友だちに「どうしたの?」と優しく声をかけ、大人の助けがなくてもこども同士で解決する姿も見られるようになります。自分が大切にされながら育っていくことで自己肯定感がしっかりと育ち、他者にも優しくできる子たちに育っていくのです。

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そんな姿が増えていくと、自然とこどもたちの笑顔も増え、保護者の方々も笑顔になります。
また、そうした環境を作るには、保育者も自分を好きになり、自己肯定感を高めていくことが大切だと思っています。保育者が、それぞれの強みを活かし、褒め合い、認め合いながら「その人らしい保育」ができる環境を作ることで、保育者たちも笑顔になり、その姿を見たこどもたちも笑顔になっていきます。
そうやって『みんな笑顔』の保育園を作ることは、そこに居る全ての人の自己肯定感を育てていくことに繋がると思っています。

『子育ての楽しさ』が
共有できる
子育てのパートナー

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保護者の方とは「子育ての楽しさ」を共有したいと思っています。こどもを真ん中に置いて、保護者と保育園が『子育てのパートナー』として、一緒にこどもを育てていく。できるようになったことは一緒に喜び、悲しかったことは一緒に悲しむ。こどもの成長を共に喜び合える関係を築いていくことを目指しています。

そのために大切にしているのは、とにかく『会話をする』ことです。その日にあった小さなエピソードを、保護者の方にきちんとお伝えすることを大切にしています。遊んでいる時の様子や友だち、保育者と交わした言葉、食事の時に苦手な食べ物をひと口頑張って食べたことなど、こどもたちのさりげないエピソードをお伝えしています。また、良い事だけでなく、時にはお子さんの涙のエピソードをお伝えする時もあります。どんな理由で涙が出たのか、私たちはどう対応したのか、それでこどもはどうしたのかまで丁寧にお伝えします。
日中お子さんと離れている保護者の方は、こどもの色々な事を知りたいと思いますし、保育者がその子に対してどのような言葉かけや接し方をしているのかを知っていただくことで、子育ての参考にしていただければと思っています。

その子のありのままの姿を共有することでお互いの信頼関係を築き、ご家庭でのエピソードや心配事も話していただけるくらい、保護者の方にとっても「話しやすい存在」になる。それが、私たち保育者が『子育ての楽しさ』を共有できる本当の子育てのパートナーになることだと考えています。

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