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2025/03/14
異年齢保育の質を高める「キンダー研究会」
2025年2月にベネッセの保育園で開催した「つながるミーティング」で発表した「異年齢保育3つの特徴」のエピソードを紹介していきます。
1つ目は「小さな社会」をテーマにしたエピソードです。
こどもたちが主体的に活動できるよう保育者は意識して、保育園での日々の生活を送っています。
今年は夏祭りやプレイデイ(運動会)の内容を、年長児が話し合って決めました。
特にプレイデイでは、リレーの実施についてこどもたちが話し合いを重ね、負けることへの不安を乗り越え、「みんなが楽しいリレー」を実現しました。こどもたちのアイディアで、障害物を作ったり、チームをくじ引きで決めたりする工夫が生まれ、全力で応援し合う姿が見られました。
全力で応援する姿、勝った時はみんなで喜び合い、負けた時は悔し涙を飲み込みながら、「次は頑張ろう!」と励まし合う姿はまさに『きょうだいのような関係』そのものでした。
このようにこどもたちが「自身の力でより良い方法を考えよう!」とする姿につながるまで、保育者の配慮ポイントをまとめています。
POINT①保育者同士でこどもの姿や年齢に応じた発達の情報共有が大切
年度の初め、キンダー(幼児)クラスのこどもたちは自分の気持ちを相手に伝えるのが苦手な様子でした。トラブルを避けるため、相手の考えを受け入れることが多く、「やさしい子が多いクラス」と感じられました。保育者は、こどもたちが自分の気持ちに自信を持ち、主体的に活動に参加できるように促しつつ、相手の言葉にも耳を傾けることの重要性を伝える配慮をスタッフ同士で共有していました。
POINT②保育者がアプローチする必要があるか見極めることが大切
トラブルが発生した際、保育者は子どもたちの間に入り、仲立ちをすることに。
「○○ちゃんはこう思ったんだね」「△△くんはどう思う?」といった言葉で、両者の気持ちを引き出し、時には代弁しながら会話の橋渡しを行うようにしたことで、こどもたちは状況に応じた言葉を獲得し、やりとりが活発になりました。必要に応じて見守りと援助を両立させることで、保育者はこどもたちを見守ることが増えてきました。
POINT③年齢や先入観で決めつけない。こどもというより、1人の人として尊重する
担任は、保育者の基準で「良い・悪い」を決めないことを大切にしています。話の結論を「ごめんね」や「いいよ」にすることにこだわらず、こどもの目線で折り合いをつけるように関わっています。また、「〇歳だから~」といった年齢に基づいた判断をせず、言葉で伝えることが苦手なのか?複雑な気持ちの表現が難しいのか?など、その子それぞれの本当の想いをくみ取りながら必要な援助を探しています。
最後にこちらのエピソードを紹介したスタッフの言葉です
「核家族化や一人っ子家庭の増加により、異年齢で関わったり、時にはぶつかり合ったり…といった機会が減少しています。だからこそ、異年齢保育で見られる『きょうだいのような関係』は、こどもたちが『折り合いに触れる』きっかけや『学び合う』瞬間を提供し、彼らの社会を深める重要な要素だと感じています。
今後も、こどもたちの『小さな社会』を見守りながら、キンダー保育の魅力を楽しんでいきたいと思います。」
キンダー研究会